複数の足をまとめて読むパターン
2〜3本のパターンは、連続する足の実体が互いにどんな関係にあるかで名前を付けます。後の足の実体が前の足の実体を覆っているか、真ん中の足が小さいか、最後の終値がどこまで戻したかを見ます。条件が複数の足にまたがるので、1本のパターンより信頼できると紹介されることもあります。この記事の定義は、下の実測で使った基準をそのまま書いたもので、「下落のあと」は、パターンの最初の足の直前の足の終値が、その5本前の終値より低い場合です。1本のパターンは「1本のローソク足パターン」の記事で扱いました。 複数の足をまとめる理由は、流れが変わる過程を段階として見ることにあります。一方向に動いていた足、迷っている足、反対方向に大きく動いた足が順に出れば、参加者の優勢が入れ替わったと読む、という具合です。ただし条件が増えるほどパターンはまれになって標本が小さくなり、足1本が基準にわずかに届かないだけで別の名前になったり、まったく数えられなかったりします。そのため同じチャートでも、ツールごとに見つけるパターンが違いやすくなります。
強気の包み線と弱気の包み線
強気の包み線は、下落のあとに陰線が出て、次の陽線の実体が前の陰線の実体を完全に覆う形です。測定では、陽線の始値が前の終値以下、終値が前の始値以上で、実体が前の実体より長い場合を数えました。弱気の包み線は、上昇のあとの陽線を次の陰線の実体が覆う形です。コイン市場では次の足の始値がほぼいつも前の足の終値と同じなので、事実上「終値が前の足の始値を超えたか」が条件のほとんどになります。そのせいか、10銘柄の日足で強気の包み線(1,218回)と弱気の包み線(1,225回)は、この講座が数えたローソク足パターンのうち、同時線に次いでよく出ました。 包み線を反転のサインと読む根拠は、2本目の足の間に、買う側が1本目で売る側が作った動きをすべて取り戻し、さらに先へ進んだという点にあります。一緒に確かめるのは、2本目の実体がどれだけ大きいか、ヒゲが短いか、出来高が1本目より多いかです。よくある勘違いは、1本目がごく小さい場合まで同じ重みで見ることです。同時線に近い小さな足は覆いやすいので、1本目の実体の大きさも合わせて見る必要があります。
例:架空の価格です。左は小さな陰線の次の陽線の実体が前の実体を完全に覆った強気の包み線、右は長い陰線の次の小さな陽線が前の実体の中に収まった強気のはらみ線です。
はらみ線:包み線をひっくり返した形
はらみ線は包み線とは反対に、実体の長い足の次に出た小さな実体が、前の実体の中に収まる形です。下落のあと長い陰線に続けば強気のはらみ線、上昇のあと長い陽線に続けば弱気のはらみ線と呼びます。一方向に大きく動いた次の足で、動きが小さくなったという意味です。上の図の右側が強気のはらみ線です。はらみ線はこの講座の測定に含めていないので、成績については述べません。 包み線が「反対側が圧倒した」という形なら、はらみ線は「一方の勢いがひとまず止まった」という形に近いものです。そのため、はらみ線だけで方向が変わったと見るより、次の足が1本目の値幅をどちらに抜けるかを確かめる人が多いです。2本目が同時線なら、はらみ寄せ線と別に呼ぶこともあります。2本目が1本目の実体の中に入ればよいのか、ヒゲまで含めた値幅の中に入る必要があるのかは、本によって基準が違います。
明けの明星と宵の明星
明けの明星は3本の足でできています。下落のあとの、実体が値幅の60%以上ある長い陰線、実体が1本目の実体の30%以下の小さな足、そして1本目の実体の中間より上で引ける陽線です。真ん中の小さな足を、夜明けの空に光る星にたとえた名前です。宵の明星はこれをひっくり返した形で、上昇のあとの長い陽線と小さな足、そして1本目の実体の中間より下で引ける陰線です。 3本の流れを参加者の行動として読み解くと、1本目では売る側が優勢で、2本目ではそれ以上押し込めずに迷い、3本目で買う側が1本目の下げの半分以上を取り戻した、という話になります。そのため3本目が1本目の実体の中間を超えたかどうかが要の条件です。よくある勘違いは、真ん中の足が小さければよいと考えることですが、3本目が1本目の実体の中間に届かなければ、この定義では明けの明星ではありません。
例:架空の価格です。長い陰線、実体の小さな足、そして1本目の実体の中間より上で引けた陽線が続いた明けの明星です。教科書と違って、足と足の間に窓がありません。
教科書の窓と24時間市場
伝統的な定義の明けの明星では、真ん中の足の実体が1本目の実体と重ならずにその下に離れ、2つの実体の間にすき間(窓)がなければなりません。窓は主に、市場がいったん閉まってから別の価格で再び開くときにできますが、休みなく取引されるコイン市場では、次の足がほぼいつも前の足の終値から始まります。そのため、この講座の測定とこのサイトのローソク足パターン検知は、窓の条件なしに形だけを見ます。名前は同じでも、教科書のパターンとは少し違うものを数えているということです。 この違いは解釈にも影響します。教科書の窓は、市場が閉じている間に考えを変えた人が多かったという跡ですが、24時間市場の明けの明星にはそうした情報がありません。反対に株式の日足では窓の条件をそのまま使えますが、その窓が夜間のニュースのような別の原因でできたものかどうかも合わせて見る必要があります。どの定義で数えた数字かを確かめずに別の市場の結果を持ってくると、違うもの同士を比べることになります。
赤三兵と黒三兵
赤三兵は、実体の長い陽線が3本続く形です。測定では、3本とも実体が値幅の50%以上で、終値が順に高くなり、2本目・3本目の始値が前の足の実体の中にある場合を数えました。黒三兵は、実体の長い陰線3本が終値を順に切り下げていく形です。2つのパターンは直前の流れの条件なしで数えました。名前の「赤」と「黒」は足の色から来ていますが、色はチャートによって違い、このページの図では上昇の足が緑、下落の足が赤で描かれます。上昇の足3本と下落の足3本と覚えておけば混乱しません。 赤三兵は、反転というより買う側が一方向に着実に続いたという形なので、下落のあとに出れば反転、上昇の途中に出ればトレンドが続く形と読まれます。一緒に見るべきなのは3本目です。実体がだんだん小さくなったり上ヒゲが長くなったりすると、勢いが衰える形として別に呼ぶこともあります。また3本がすでに大きく上がったあとなら、それだけ短い期間に大きく動いたという意味でもあります。
例:架空の価格です。実体の長い陽線3本が終値を順に切り上げながら続いた赤三兵です(この図では緑)。24時間市場では始値がほぼいつも前の足の終値なので、「始値が前の実体の中」という条件は自然に満たされやすくなります。
10銘柄の日足で測った結果
「1本のローソク足パターン」の記事と同じデータ(バイナンスの10銘柄の日足29,946本、各銘柄の上場日から2026年9月22日まで)で、パターンの最後の足の終値と5本後の終値を比べました。上昇のシグナルとして紹介される3つ(強気の包み線・明けの明星・赤三兵)はいずれも上昇割合が基準より少し低く、下落のシグナルとして紹介される3つのうち2つ(宵の明星・黒三兵)は基準より高くなりました。教科書とは反対の方向ですが、差はほとんどが数ポイントです。黒三兵の1本後の上昇割合65.8%(基準50.6%)は目を引きますが、標本は76件しかありません。 黒三兵では、1本後に大きく跳ねた数字が5本後には55.3%に縮みました。1つの時点の数字だけでなく、いくつかの時点を合わせて見るべき理由です。またこの比較は、すべてのパターンを同じデータ、同じ基準で測ったものなので、定義の違うツールや本の数字とそのまま比べるのは難しいです。
- 基準(すべての足):5本後の上昇50.5%
- 強気の包み線1,216回:47.9%、弱気の包み線1,224回:49.4%
- 明けの明星135回:46.7%、宵の明星141回:51.8%
- 赤三兵107回:48.6%、黒三兵76回:55.3%
BTCだけを切り出すと:小さな標本の落とし穴
BTCの日足だけを見ると、数字は大きく変わります。赤三兵は12回のうち9回(75.0%)で5本後のほうが高く、明けの明星は14回のうち4回(28.6%)しか高くありませんでした(BTC日足の基準は53.1%)。同じパターンが10銘柄全体では48.6%、46.7%で、BTCの4時間足では、赤三兵74回のあとの6本後の上昇割合が59.5%、明けの明星73回のあとが49.3%でした(基準52.0%)。標本が十数個なら、偶然だけでもこの程度の偏りは出ることがあります。硬貨を12回投げて表が9回以上出る確率は約7%と計算されるので、多くのパターンを一度に見れば、いくつかはこう見えやすいのです。 標本が小さい結果は、いくつか加わったり抜けたりするだけで割合が大きく変わります。12回のうち1回の結果が変わるだけでも、割合は8ポイント以上動きます。そのため1つの組み合わせの結果より、複数の銘柄と足の長さで方向が一貫しているかを見るほうが安全です。
よくある誤解と、結論を急がない方法
この数字を見て「上昇型のパターンが出るとむしろ下がる」とまとめるのも、結論を急ぐことです。差はほとんどが数ポイントで、銘柄や足の長さを変えると方向が逆になりました。パターンについての主張を聞いたときは、次の点を順に確かめてみると、結論を急がずにすみます。この記事の数字も過去の一つの期間を測ったものにすぎません。戦略を過去の足で試すときに見るべき点は、「バックテスト結果の読み方」の記事に続きます。 もう1つよくある誤解は、「パターンのあとに上がった」かどうかだけを数え、どれだけ上がったか、その間にどれだけ下がったかを見ないことです。上昇割合が同じでも、値動きの大きさはまったく違うことがあります。下の項目は、この記事に限らず、どこで見かけたパターンの主張にも同じように当てはめられます。結論を急がないためには、数字そのものより、その数字を生んだ条件から問う習慣が必要です。
- 標本はいくつか:数十個以下なら大きく揺れる
- 0や50%ではなく、すべての足の基準と比べたか
- 平均より先に、中央値・上昇割合を見たか
- ほかの銘柄・ほかの足の長さでも同じ方向か
- 定義を、結果を見る前に決めておいたか
暗号資産と株式で違って見える点
2〜3本のパターンで市場の違いがいちばんはっきり出るのは始値です。株式は市場が閉じてからまた開くので、2本目が前の足の終値より安く、あるいは高く始まることがよくあり、包み線の「始値が前の終値以下」という条件や明けの明星の窓の条件が実際に意味をもちます。暗号資産は始値がほぼいつも前の終値なので、同じ条件がひとりでに満たされます。韓国株には1日の値幅制限(±30%)があり、上限で始まってそのまま終わった足は高値と安値が同じで、実体の比率を計算できません。こうした足が続くと赤三兵のような定義が妙な理由で合ったり外れたりするので、別に除く必要があります。週末や休場をはさむと、連続する3本が実際には5日にまたがることもあります。米国の指数や大型ハイテク株は時間外取引で価格が動き、通常の取引時間の足にはその結果が始値の窓としてしか残りません。出来高も、株式は寄り付きと大引けに集まり、足ごとの重みが均一ではありません。この記事の数字は暗号資産の日足で測ったものなので、サムスン電子やSKハイニックスのような株式にそのまま当てはめることはできません。
リアルタイムのチャートでよくある失敗
2〜3本のパターンは、最後の足が確定して初めて完成します。リアルタイムのチャートでは、3本目が進行している間に明けの明星の条件が合ったり外れたりを繰り返し、包み線も、2本目の終値が前の足の始値を超えたかどうかが確定の直前に変わることがあります。更新のたびについたり消えたりする表示を見て判断すると、結局は確定していない足で結論を出すことになります。特に1分足のような短い足では、こうした点滅が1日に何度も起こり、取引の少ない時間帯には注文数件だけで条件が合ったり外れたりします。パターン検知ツールや通知が進行中の足を含むかどうかをまず確かめ、表示が出た足が実際にどう確定したかを見直す習慣が役に立ちます。下は、リアルタイムで見るときによく出る失敗です。どれも、確定していない情報や、別の条件で出た数字を、目の前のチャートにそのまま重ねることから生まれます。
- 進行中の足でパターンを確定させる
- 小さな1本目を覆った包み線を、大きな包み線と同じ重みで見る
- 1分足のような短い足のパターンに、日足で測った数字を期待する
- ほかの取引所やほかの市場のチャートでも同じパターンが出たはずだと思い込む
- パターンが完成したあと、次の足を確かめない
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